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2015年10月 7日 (水)

ブログ移転のお知らせ

桜丘法律事務所のブログは,管理の都合上,下記のブログに移転しました。

http://sakuragaokadayori.cocolog-nifty.com/blog/

こちらのブログは,当面の間記事をそのままにしておきますが,基本的に今後の更新は行いません。
ブックマークなどされている方は,新ブログへ変更されるようお願いいたします。

2015年10月 1日 (木)

日弁連イベントのお知らせ

69期司法試験合格者などを対象に,平成27年10月31日に,「公益活動を担う弁護士になろう!~法テラススタッフ弁護士・日弁連ひまわり基金弁護士・偏在対応弁護士 説明会~」(東京会場)が開催されます。

第1部では,ひまわり基金公設事務所をはじめとする日弁連の過疎偏在対策や,法テラスのスタッフ弁護についての基本的な説明を行います。

第2部では,現役の公設事務所所長や法テラスのスタッフ弁護士によるパネルディスカッションを行い,赴任までの過ごし方や地方で働くことの魅力,仕事の内容などについて,生の経験談を聞くことができます。

第3部では,公設事務所所長や法テラスのスタッフ弁護士に対し,赴任までOJTによる実務経験を積ませ,養成する養成事務所が集って,個別の事務所の採用情報説明会を行います。

当桜丘法律事務所も,養成事務所として登録していますので,ブースを出す予定です。

興味のある69期修習予定者は,下記の日弁連のページを参照頂き,申込みして頂ければと思います。
http://www.nichibenren.or.jp/event/year/2015/151031.html

2015年9月15日 (火)

69期合格者向け事務所説明会のお知らせ

合格者の皆さん,おめでとうございます。

さて,桜丘法律事務所では,下記要領にて司法試験合格者(69期修習予定者)に対する事務所説明会を行います。当事務所の69 期の採用予定は1~2名ですが,応募の予定のない方も,興味のある方はご自由にご参加下さい。

参加希望者は,件名を「事務所説明会参加希望」として,
①名前②メールアドレス③参加希望日④懇親会参加希望の有無を明記の上,金澤万里子(kanazawa@sakuragaoka.gr.jp) 宛にメールにて申込をして下さい。

当事務所は,日弁連のひまわり基金公設事務所又は法テラスのスタッフ弁護士として地方で勤務する新人弁護士の養成を続けています。弁護士過疎解消をはじめ,公益的な弁護士業務に幅広く関心のある方のご参加をお待ちしています。

当日は東電OL殺人事件主任弁護人であり,刑事専門弁護士である神山啓史弁護士による刑事弁護ロールプレイも予定されていま す。刑事事件に興味のある方も是非ご参加下さい。なお,準備の都合上,各回先着30名とさせて頂きますのでご了承下さい。

第1回 平成27年10月5日(月)  18:00~20:00頃まで
第2回 平成27年11月9日(月)  18:00~20:00頃まで

★第2回説明会の日時は,都合により,平成27年10月24日(土)18時~20時に変更になりました。

場所はいずれも,伊藤塾本館2階(当事務所が入る渋谷協栄ビルの隣の建物)の521B号教室(東京都渋谷区桜丘町17-5)


説明会内容
第1部 約60分
 ひまわり基金公設事務所・法テラスと桜丘法律事務所のあゆみ 
   櫻井光政所長
第2部 約60分
 刑事弁護人の心構えと刑事弁權ロールプレイ     
   神山啓史弁護士

終了後,事務所見学と懇親会を予定しています。


〒150-0031 東京都渋谷区桜丘町17-6    
渋谷協栄ビル7階 桜丘法律事務所
電話 03-3780-0991
http://www.sakuragaoka.gr.jp

2015年8月26日 (水)

9月神山ゼミ延期のお知らせ

9月4日(金)神山ゼミを,都合により,下記のとおり延期します。


9月4日(金)18時00分 → 9月11日(金)18時30分

場所の変更はありません。
伊藤塾東京校521B教室

よろしくお願いします。

2015年8月25日 (火)

残業代の未払と会社役員の責任

残業代の時効は2年とされています(労働基準法115条 ただし、不法行為に基づいて3年まで遡れる可能性があります)。

 時効期間が短くて多額の請求ができないようにも思われがちですが、長時間労働と残業代の未払が常態化している企業では、従業員1人あたり100万円を超える残業代が未払になっていることもあります。

 そうした企業で何人かが示し合わせて残業代を請求すると、会社は相当高額な請求を受けることになります。

 企業規模が小さい場合、被告会社には残業代を払えないことがあります。残業代を十分に回収できない場合、労働者の側で被告会社の取締役個人の責任を追及することはできないのか、取締役には個人の責任を追及されるリスクがあるのか、が本稿のテーマです。

 この問題を考えるにあたっては大阪地裁の判例(大阪地判平21.1.15労判979-16)が参考になります。

 この判例の原告は残業代を会社に請求して勝訴したものの支払を受けられなかった労働者達です。原告らは会社の取締役や監査役が任務を怠ったせいで割増賃金相当額の損害を被ったと主張して役員個人に対して損害賠償を請求しました。

 裁判所は、

「株式会社の取締役及び監査役は、会社に対する善管注意義務ないし忠実義務として、会社に労働基準法37条を遵守させ、被用者に対して割増賃金を支払わせる義務を負っているというべきである」「取締役の善管注意義務ないし忠実義務は、会社資産の横領、背任、取引行為など財産的範疇に属する任務懈怠だけでなく、会社の使用者としての立場から遵守されるべき労働基準法上の履行に関する任務懈怠も包含する」

と述べた後、

「代表取締役である被告甲野については、昭和観光が倒産の危機にあり、割増賃金を支払うことが極めて困難な状況にあったなどの特段の事情がない限り、取締役の上記義務に違反する任務懈怠が認められるというべきである」 「被告甲野以外の被告らは、本件で問題とされている原告らに対する割増賃金の未払の生じた後に、昭和観光の取締役ないし監査役に就任している以上、昭和観光をして原告に対し上記未払いの割増し賃金の支払をさせる機会はあったというべきである。したがって、被告甲野以外の被告らが、悪意又は重過失により、取締役ないし監査役として負っている上記1で認定した義務に違反して、昭和観光をして原告らに上記未払いの割増賃金を支払わせなかった場合には、被告甲野の以外の被告らは、商法266条の3(280条1項)に基づき、原告らに対し損害賠償責任を負うことになる」

と判示して各役員の責任を認めました。

 簡単にまとめると、倒産の危機にあって割増賃金を支払うことが極めて困難であったなどの例外的な事情がない限り、割増賃金を支払わないことは原則として取締役や監査役に損害賠償責任を発生させる要件としての「任務懈怠」に該当するということです(判例は旧商法の時代ですが、会社法にも同様のルールが引き継がれています)。

 会社に残業代を請求して回収できない場合、労働者は役員個人を相手に損害賠償の名目で時間外勤務手当を請求することが考えられます。役員の側には、残業代の未払を放置していると個人責任を追及されるリスクがあります。

 残業代を回収できずにお困りの方、適切な労務管理をしたいと考えている経営者の方、当事務所ではいずれの立場の方からのご相談にも応じさせて頂くことが可能です。お心あたりのある方は、ぜひご一報ください。

(師子角允彬)


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2015年8月24日 (月)

残業代は何年前まで遡って請求できるのか

残業代の消滅時効は2年とされています。

これは、労働基準法115条の

「この法律の規定による賃金(退職手当を除く。)、災害補償その他の請求権は二年間、この法律の規定による退職手当の請求権は五年間行わない場合においては、時効によって消滅する。」

という規定が根拠になっています。

 時間外勤務手当は「賃金…その他の請求権」に該当するという理解です。

 この規定があるため、未払残業代を請求する場合、過去2年分に限定して請求している例が多々みられます。

 しかし、未払残業代の請求は必ずしも過去2年以内に限定されるわけではありません。残業代の未払を不法行為と構成することで、3年分まで遡って請求できる可能性があります(注.民法723条で不法行為に基づく損害賠償請求権は損害及び加害者を知った時から3年間は行使可能とされているからです)。

 この点に関しては、広島高等裁判所で判決が言い渡されています(広島高判平19.9.4判タ1259-262)。

 この判例は掲載紙上で「時間外手当請求権が労基法115条によって時効消滅した後においても、使用者側の不法行為を理由として未払時間外勤務手当相当額の請求が認められた事例」として紹介されています。

 裁判所は消滅時効の完成をいう被告(被控訴人)の主張に対し、「被控訴人は、…時間外勤務手当については、仮に存在しても、本件提訴が平成18年7月14日であることからすれば、労働基準法115条によって2年の消滅時効が完成しているとの主張をする。しかしながら、本件は不法行為に基づく損害賠償請求であって、その成立要件、時効消滅期間も異なるから、その主張は失当である」と判示し、未払時間外勤務手当相当分を不法行為を原因として請求することを認めました。

 法律には「特別法は一般法を破る」という原則があります。

 賃金や時間外勤務手当の不払いは微罪ながら犯罪とされています(労働基準法120条1号、同法24条、同法119条1号、37条)。賃金や時間外勤務手当を支払わないことは常識的に考えれば、不法行為にも該当します。そういう意味では賃金の時効は不法行為一般に対する特別法という見方ができるかも知れません。しかし、広島高裁はそのような見方を否定し、不法行為の成立要件を満たす限り、不法行為を根拠として未払時間外勤務相当分を請求できると判断しました。労働者側にとっては画期的な判例であると思われます。

 もちろん、広島高裁の判例があるからと言って、全ての事案で3年分の請求が可能というわけではないと思います。請求するには不法行為の成立要件を満たす必要がありますし、広島高裁の事例は「出勤簿には、…出退勤の時刻が全く記載されて」いないことが指摘されるなど残業代の未払事件の中でも相当悪質な事案です。広島高裁の判決の論理がどの事案まで適用できるのかは法律家として当然慎重に検討するところだと思います。

 しかし、そうした検討を経ないで流れ作業的に2年分しか残業代を請求しないように思われる場合、依頼人としては他の弁護士にセカンドオピニオンを求めても良いかも知れません。先に述べたとおり、賃金や時間外勤務手当の不払いが(象徴的な意味であるにせよ)犯罪とされていることからすれば、その違法性は強いはずで基本的には不払いは不法行為の成立要件を満たすはずだという視点があっても良いからです。

 請求権が2年分か3年分かは割合にして1.5倍の差があります。決して無視できるような差ではありません。

 お困りの方、ご不安をお抱えの方は、ぜひ一度ご相談ください。

(師子角 允彬)


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2015年8月21日 (金)

東電旧経営陣強制起訴 検察官役の指定弁護士に神山弁護士が選任されました

既に報道等で明らかな通り,東電旧経営陣強制起訴事件の検察官役の指定弁護士に,石田省三郎弁護士,山内久光弁護士とともに当事務所の神山啓史弁護士が選任されました。

石田弁護士は神山弁護士が師と仰ぐ重鎮,山内弁護士は志を共にする正義感あふれる中堅弁護士と,いずれも困難な任務を担うにふさわしい第二東京弁護士会選りすぐりの弁護士です。

神山弁護士には全力でこの困難な任務に当って頂きたいと願っています。

 さて,指定弁護士に就任したことにより,神山弁護士は,司法研修所教官として講義を担当する以外の時間のほとんどを検察庁での膨大な記録検討に充てることになり,事務所に出所する機会及び時間はきわめて少なくなります。

神山弁護士はもとより携帯電話等の通信手段を持ちませんので,これまで以上に即時の連絡が困難になりますが,担当する職務の重要性に鑑みて,ご了承下さるようお願いいたします。

原発事故で強制起訴、検察官役の弁護士3人指定 東京地裁 http://www.sankei.com/affairs/news/150821/afr1508210012-n1.html
検察官役に神山弁護士ら3人=マイナリさん事件で弁護人―東電旧経営陣、強制起訴で http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150821-00000055-jij-soci

低い基本給と定額残業代が招く紛争について

「定額残業代」とは時間外労働の対価を定額で支払うことをいいます。

 残業代を一律定額で支払うことができるのかは、法律上、明文で規定されているわけではありません。

 この問題について最高裁判所は、
① 支払われた賃金のうちどの部分が通常の賃金で、どの部分が割増部分であるかが判別可能であること、
② 当該割増賃金相当額が法所定の額を満たさないときには、その差額が支払われること、
との二つの条件が満たされる場合には適法だという姿勢をとっています(最判昭和63.7.14労判523-6、最判平成6.6.13労判653-12等参照)。

 近時、この最高裁の判断を逆手にとって人件費節約の手段として定額残業代を利用する企業が増加しています。具体的に言えば、基本給を引き下げ、その部分を定額残業代に転嫁するという手法です。

 例えば、基本給20万円で働いていた人がいたとします。このままだと時間外労働をさせた場合に残業代を支払わなければなりません。これを避けるため、基本給を10万円に減額するとともに、定額時間外勤務手当(残業代)として10万円を支払うように賃金を改定します。そうすると、もともとの基本給が低いこととあいまって、かなり長い時間、賃金月額20万円のラインを動かさずに残業をさせることができるようになります。

 上に述べたのは飽くまでも説明を分かりやすくするための例えです。実際にはもっと巧妙で分かりにくく行われます。定額残業代に関しては形式上最高裁の判断に合致しているように見えることもあり、泣き寝入りをしている方も多いのではないかと思います。

 しかし、当然のことながら、裁判所は上記のような脱法行為を野放しにはしていません。例えば、東京高判平成26年11月26日労判1110-46は、次のような事実関係のもと、使用者から支給された「時間外勤務手当」が基本給と同様に残業代を計算する上での基礎賃金に含まれると判断しました。

 被告会社は元々、原告に対して、①基本給20万円、②住宅手当、③配偶者手当1万5000円、④資格手当2000円、⑤非課税通勤費3360円に加え、⑥毎月数万円程度の時間外勤務手当を支給していました。

 これが賃金の改定を経て、①基本給18万5000円、②営業手当12万5000円に改定されました(内訳 時間外勤務手当8万2000円、休日出勤手当2万5000円、深夜勤務手当1万8000円)。

 裁判で残業代の支払が求められたのは、平成23年3月から平成25年2月までの分ですが(このようになっているのは残業代の時効が2年だからだと思われます)、この時の原告の賃金は、①基本給24~25万円、②営業手当17万5000円~18万5000円となっていました。

 裁判所は営業手当の性質を

「割増賃金の対価としての性格を有すると評価できなくもない」

としながらも、

「上記営業手当はおおむね100時間の時間外労働に対する割増賃金の額に相当することになる。」「100時間という長時間の時間外労働を恒常的に行わせることが上記法令の趣旨に反するものであることは明らかであるから…恒常的な長時間労働を是認する趣旨で、控訴人・被控訴人の労働契約において本件営業手当の支払いが合意されたとの時事を認めることは困難である」

「さらに、…変更前後の上記内訳、金額に照らすと、上記営業手当には、従前基本給、住宅手当、配偶者手当、資格手当として支払われていた部分が含まれていたと推認することができる。」

と述べて、

「本件営業手当の全額が割増賃金の対価としての性格を有すると認めることはできない」

と判断しました。

 その上で「本件営業手当は、割増賃金に相当する部分とそれ以外の部分についての区別が明確になっていない」(最高裁が提示した条件の②が満たされない)として、定額残業代によって割増賃金の支払義務は消滅したと
の被告の主張を排斥しました。

 その結果、

「本件営業手当は、基本給とともに、割増賃金算定の基礎賃金となる。」

ことになりました。

 この裁判例は労働者の側からも使用者の側からも重要な意味を持っています。

 労働者の側から見ると、基本給が極端に低く抑えられている場合、比較的高額の時間外勤務手当が定められていたとしても、それは適法な残業代の支払とは認められないとして改めて残業代を請求できる可能性があるということです。低い基本給のもと長時間労働を強いられている労働者にとっては画期的な判例といえます。

 使用者の側から見た場合、法の潜脱ととられかねないような賃金体系を構築すると手痛いしっぺ返しをくらうことを意味します。東京高裁の判例は営業手当が割増賃金の対価としての性質を有することを認めています。しかし、営業手当は基礎賃金に含められた上、未払残業代の計算にあたり全く考慮されませんでした。使用者としては、まさに踏んだり蹴ったりで二重の不利益を受けたことになります。

 法の抜け穴は滅多にあるものではありません。一体誰が基本給を極端に低く抑えて定額残業代を活用するという手法を広めているのかは不分明ですが、脱法的なアドバイスを真に受けると酷い目に遭うことがあります。

 極端に低い基本給と定額残業代のせいで長時間・低賃金労働を強いられている労働者の方も、適切な賃金体系の構築にお悩みの経営者の方も、直観的に問題がありそうだなと思ったら、取り敢えず法律家に意見を求めてみることをお勧めします。

 もちろん、当事務所でもご相談はお受け付けします。

(師子角允彬)


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2015年8月20日 (木)

お墓の承継者は誰か?いない場合どうするの

少子高齢化社会、核家族化の影響でしょうか。死後事務やお墓に関する相談を受ける機会が多いように思います。今回はお墓の承継に関してよくある悩みをとりあげます。

●お墓の承継者は誰か?
 お墓という性質上、それを建てた方や管理している方自身がそこに入ることが多いですが、その後誰がそれを引き継ぐのかという問題が常に生じます。生前お墓守をしていても自分自身が入った後に誰も引き継いでくれなければ意味がありません。

 この点、民法では以下の通り規定されています。
民法897条
1 系譜、祭具及び墳墓の所有権は、前条の規定にかかわらず、慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき者が承継する。ただし、被相続人の指定に従って祖先の祭祀を主宰すべき者があるときは、その者が承継する。
2 前項本文の場合において慣習が明らかでないときは、同項の権利を承継すべき者は、家庭裁判所が定める。

1項にある「前条」とは、民法896条「相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。ただし、被相続人の一身に専属したものは、この限りでない。」ですから、お墓の承継は相続の対象となるわけではないということです。
もっとも、民法897条1項の後段でも示されているように、被相続人が指定できるとあるので、その限りでは相続に近い部分もあるといえます。それ故に遺言書において「祭祀承継者は〇〇〇とする」と記載する例も多くあります。問題はそのような指定がない場合ですが、民法は「慣習に従って」としています。
「慣習」?何だそれは?と思われる方もいるかもしれません。確かに曖昧です。慣習は文字通り慣習なので、何かに明記されたルールとは異なります。家や土地にもよりますが、いわば何となく代々行ってきた例にのっとりましょうというということです。実際何となく長男、何となく名前を継いでいる親族という家が多いように思います。
ただ、お墓を承継するということはお墓の管理方法について決定する権利を持つということでもありますが、管理費を支払ったり、事実上お寺などから求められるお布施を負担したり、法要をとりしきる負担も負う(お墓の承継者の絶対的義務というわけではないですが)ということです。それに見合う経済的精神的余裕がない方が承継したとしても十分にお墓を守れないということも生じ得ます。その意味でも、できれば被相続人が生前に諸々のバランスを考えて承継者を指定しておくというのがよいでしょう。

●お墓の承継者がいない場合はどうするの?
被相続人の指定や慣習により、承継者が決まればいいですが、現実には子供がいない、いても経済的・物理的に無理、その他諸事情により承継する者がいないということは珍しくありません。民法897条で家庭裁判所が定めるともありますが、承継しようとする者が誰もいない時に職権で決めてくれるわけでもありません。管理の負担を強いることは誰にもできないのです。
この場合、お墓がどうなるのかについては、墓地や霊園の規則によることになります。多くの場合は無縁仏として整理され、最終的にはお墓も撤去され、合葬(共同墓地に入るなど)されることになるでしょう。縁故者(例えば友人など)の立場で、それは忍びないということで、承継を名乗り出ることもできますが、墓地や霊園によっては親族でないことを理由に容易に承諾しないこともあります。いずれにしても交渉が必要です。
また、古いお寺や墓地によっては、そのような規則がないこともあります。その場合はまた「慣習」という曖昧なもので運用されることになりますが、やはり最終的には墓が撤去され、合葬されることが多いでしょう。
ただ、お寺や墓地側としては、この場合お墓の整理、すなわち改葬となるので、墓地、埋葬等に関する法律施行規則第3条に従い、縁故者などに対して、1年以内に申し出るべき旨を官報に掲載するなど所定の手続きを経た上で、自治体の許可を得なければなりません。いうまでもなくこれはお寺や墓地などにとっては負担です。それ故に承継者がどのような人か、きちんと管理してくれるのか、その後はどうなのかということが大きな関心事になってくるわけです。
今は、予め将来に向けた永代供養や合祀の約束をしておく、共同墓地に最初から入れる、負担を軽くするためにロッカー式の納骨堂を利用する等、供養の仕方も多様になっています。無縁になってしまう前に、供養する側とされる側でコミュニケーションをとり、お互いが安心できるような方法について話し合いをすることが何より大事です。

(亀井真紀)

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2015年8月19日 (水)

障害者支援施設

最近、立て続けに、障害を持った方のご相談を受けています。正確にはご家族の方からとなります。

 現在の法律では、障害を持った18歳以下の児童については、児童福祉法の適用があり、福祉型障害児入所施設に入所し、18歳以上の障害を持った方は、障害者総合支援法に基づく生活介護及び施設入所支援による入所となります。

 ただ、この法律の適用が年齢によって変わるということは、子供のときから障害を発症して、長く施設に入所している方に取っては、とても分りにくく困惑するものになっています。

 ご相談に見えた二件とも、お子様は、もう既に30歳を超えておられます。子供の頃には、親のコントロールが可能であったものが、もう身体も大きくなり、力も強くなり、親が押さえることが出来なくなっています。 知的障害は、改善することもあるようですが、悪化するときには、保護者が自宅で面倒を見ることは不可能な状態になることが多いようです。

 ところが、現在のようになったのは、平成24年4月1日施行の法改正によるものなのですが、それまでは、児童のうちに施設に入所していれば、そのまま成年になっても、同じ施設に入所を継続していられたものが、法改正によって、18歳を超えたら、福祉型障害児入所施設を出て、障害者支援施設を探して移らなければならないことになりました。

 このことにより、保護者は新たな悩みを抱えることになりました。高齢者支援施設でも起きている問題がここでも発生しています。18歳になってあらたな障害者支援施設を探しても、どこの障害者支援施設も希望者であふれ、なかなか入れる施設が見つかりません。

 さすがに次の施設が見つからないときでもすぐに追い出されることは無いようですが、平成30年3月31日には、経過措置の期限が来ます。

その期限が来ても入れる施設が見つからないときには、どうしたらいいのでしょう。

 保護者や障害を持った方たちは、追い詰められています。

 このように施設に置いて貰えなくなるかもしれないという心理状態の中では、預かって貰うだけで有り難いという気持ちになり、施設の支援の仕方について、不服をいうことはなかなか出来ないものです。

 多少の怪我、多少のミスについて、施設に文句を言う人は、本当に少ないのだと聞きました。

 でも、お話しを聞く限り、施設が完璧な支援、介護を行なっているとは思えないケースがあり、それでもやれる限りはやってますという専門家とは思えない言葉が返って来ます。「何回言っても言うことを聞かないのです。」って、彼に理解する能力はあったかな、

 誰かが勇気を持って訴えることをしなければ、障害者支援施設の改善は期待できないのではないかと相談者は言います。

 そのとおりだと思います。でも、七生福祉園溺死事件を見ても、施設および施設職員がどうあるべきだったのかの立証は、なかなか専門外の者には難しそうです。またまた勉強の日々が続きます。

 ちなみに、当職の近況と映像が下記に載っています。
  よろしければ、どうぞ見てください。
   

http://www.bengo4.com/other/1146/1305/n_3344/


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2015年8月18日 (火)

借金が返済できなくなったときの対処法 〜破産って?〜

弁護士が増え、借金問題については無料相談の機会も増えました。

それでも、「どうしてこんなになるまで相談しなかったんだろう…」と思う事件は減りません。特に、借金の問題については、破産という「借金をなくしてしまう」魔法のような手段があるのに、何年も苦しみを抱え、体調も、家族との関係を悪化している方に多く出会います。

改めて、破産、という方法がいかに素晴らしいかを、少しだけ説明させていただきます(わかりやすさを優先しています。細部は弁護士にご相談下さい)。

破産のデメリットは、基本的に次の5つしかありません。戸籍にのったり住民票にのったりするわけではありません。あなたが誰かに話さない以上、友人や知人が気づかないうちに借金はなくなるでしょう。
【デメリット】

・ 向こう10年間、新たに借り入れをすることは難しくなります。ただ、すでに借り入れはできなくなっていませんか?別に借り入れができなくても、生活に困らない方がほとんどでしょう。

・ 「官報」という国の新聞に一度だけ小さく掲載されます。ただ、ほとんどの方は読んだことないですよね?あなたの知人も友人もそうだと思いますよ。私の知る限り、官報から知人に知れてしまった、という例は聞いたことがありません。

・ 一定の資格制限はあります。警備員や、保険の外交員などがこれにあたりますが、ほとんどの人には無関係でしょう。実はこういった制限も、破産手続き「中」だけの場合がほとんどです。

・ 99万円以下の現金を除いて、その他の財産を手放すことになります(県によって運用は異なります)。ただ、財産が手元にないから困っているんですよね?もし処分したくない財産があるときは、弁護士にご相談ください。県ごとの運用で問題にならないこともあります(自動車など)。もちろん、次の月にもらえる給料や年金は問題なく受け取れます。

・ 一度破産すると、7年間破産できません。まあ、別にいいですよね?

【その他】
 破産手続きは、自分の借金と財産を書面にまとめて裁判所に提出する手続きです。普通は数ヶ月で終わります。弁護士費用についても、収入が多くない場合は国の独立行政法人が立て替えてくれます。

 確かに破産、というネーミングへのイメージは悪いかもしれませんが、体調や、家族との関係を壊してまで嫌がるものではありません。ぜひ、大切なものを壊す前に弁護士にご相談ください。

(小口幸人)

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2015年8月17日 (月)

マタハラ(マタニティ・ハラスメント)2

イタリアの航空会社の元契約社員の日本人客室乗務員が妊娠を理由とする雇い止めが違法であることを理由に雇用継続を求める訴えを提起したようです。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG23H96_X20C15A6000000/

 また、今年6月24日にはマタハラで係争中の女性5名が記者会見を行い、法整備によるマタハラの根絶を訴えています

マタハラを巡る係争は、秋田では平成25年から平成26年にかけて1.5倍に増加したようです。

 また、鳥取でも平成25年から平成26年にかけて前年比で4割増加したとのことです(https://www.nnn.co.jp/news/150628/20150628004.html)。

 全国的な統計に触れたことはありませんが、係争事例の増加は全国的な傾向ではないかと思われます。

 女性の活躍を進める意味でも政府はマタハラの防止に向けて法整備を検討しています。

ただ、現在の法律でもマタハラには相当程度対抗することができますし、政府もマタハラの防止には力を入れています。

 例えば、雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律(以下「男女雇用機会均等法」)9条3項は、
 

「事業主は、その雇用する女性労働者が妊娠したこと、出産したこと…を理由として、当該女性労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。」

と明記しています。

 特に解雇に関しては、男女雇用機会均等法9条4項で、

「妊娠中の女性労働者及び出産後一年を経過しない女性労働者に対してなされた解雇は、無効とする。」

と非常に強い規制がとられています(ただし、妊娠・出産等を理由とする解雇でないことを事業者が証明した時は別です)。

不利益取扱いは解雇に限ったことではなく、雇い止め、契約更新回数の引き下げ、契約内容変更の強要、降格、減給、賞与等における不利益な算定、不利益な配置変更、不利益な自宅待機命令、昇進・昇格の人事考課で不利益名評価を行う、仕事をさせない・もっぱら雑務をさせるなど就業環境を害する行為をすることなど広汎に渡ります。そのことは厚生労働省のHPでも広報されています
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11900000-Koyoukintoujidoukateikyoku/0000089158.pdf)。

男女雇用機会均等法に関する通達は平成27年1月にも改正されています。この改正の中では、妊娠・出産、育児休業等を「契機として」なされた不利益取扱いが原則として違法と解されることが明確化されています。女性の活躍を謳う政府の方針や少子化対策もあいまって、マタハラの防止は国が力を入れている領域の一つではないかと思います。

法整備はより良い制度を構築するための不断の努力の延長であって、現行法に致命的な欠陥があるわけではないように思われます。完全無欠というつもりはありませんが、現行法の枠内でも権利を守るためにできることはたくさんあります。報道から読者が現行法に穴があるかのような誤解を受けないかと気になったため、本記事を執筆することにしました。

問題をお抱えの方は、ぜひお気軽にご相談ください。

(師子角允彬)

2015年8月14日 (金)

桜丘法律事務所退所並びにMJ法律事務所開設のご挨拶

私こと、この度、法テラス長崎法律事務所への赴任期間も含めると9年間お世話になった桜丘法律事務所を7月末日をもって退所致しました。今年の10月で弁護士登録10年目、年末には第二子を授かる節目を迎え、独立させて頂くこととなりました。
所長を始め、桜丘の皆様には大変お世話になりました。心の底から感謝しております。

8月1日からは新事務所で執務しております。新事務所は、京成曳舟駅から徒歩1分で明治通り沿いです。
今後も、桜丘法律事務所と連携しつつ、桜丘で学んだ経験を活かし、弁護士をより市民の皆様に身近なものとすべく精進して参ります。
今後ともご指導ご鞭撻のほど、宜しくお願い申し上げます。

キッズスペースも用意しておりますので、小さなお子様連れも大歓迎です。
お近くにいらっしゃいましたら、どうぞお気軽にお立ち寄り下さい。

〒131-0046
東京都墨田区京島1-42-9 大野ビル3階
MJ法律事務所 弁護士 高木良平
TEL 080-3353-7471
FAX 03-6800-2083
mail tryo18@ybb.ne.jp

189-児童相談所全国共通ダイヤル3ケタ化

皆さんは、児童相談所全国共通ダイヤルというものをご存知でしょうか?これは、虐待かもと思った時などに、すぐに児童相談所に通告・相談をすることができる全国共通の電話番号です。児童相談所全国共通ダイヤルに電話をかけると、お近くの児童相談所につながります。通告・相談は匿名で行うこともでき、通告・相談をした人、その内容に関する秘密は守られます。

児童虐待と思われる事態を見聞きしたときは、児童虐待防止法上の通告義務が生じますが、虐待事案のみならず、自分の子育てについての相談などもできるので、積極的に活用して欲しいものです。

これまでも、児童相談所全国共通ダイヤルはあったのですが、10桁の番号で覚えにくく、あまり市民の皆さんに浸透していませんでした。そこで、子供たちや保護者のSOSの声をいち早くキャッチするために、平成27年7月1日より、「189」(いちはやく)という110番や119番のように覚えやすい3ケタの番号に変更されました。

勿論、児童相談所に通告をしたからといって、常に虐待事案が解決するわけではありません。児童相談所で不適切な対応をされてしまうケースもまま見受けられます。

しかし、児童虐待と思しき事態を見聞きしながら、それを放置してしまうと、虐待を受けているかもしれない児童は救われません。

実は、私自身も、児童虐待の現場を目撃して、児童相談所に通告をしたことがあります。その際に、区をまたいだ場合の縦割り行政に辟易したことは事実ですが、現場で対応されている皆さんはとても親身になって対応をしてくれていました。

もし、皆さんが、虐待かもしれないと思うような事態を見聞きした場合や、子育てに悩んでいる友人知人がいる場合、まずは児童相談所全国共通ダイヤルに電話して下さい。
そして、いつそんな事態になるかわかりませんから、まずは「児童相談所全国共通ダイヤル」「189」を自分の携帯電話にでも登録しておくことをお勧めいたします。

GPSを捜査に使えるか―公権力の行使に対する歯止めを考える

先日大阪地裁で,裁判所の令状を得ないで車両にGPSの発信器を付け行動を監視した捜査を違法とし,この捜査によって得た証拠を採用しない決定が下されました。

一方,今年の1月には,大阪地裁が同様の捜査を適法とした判断を下しました。

 なぜこの2つの裁判で意見が分かれたのかは,判決文を読めていない現時点では言及できませんが,非常に興味深いです。

 憲法においては,現行犯逮捕の場合を除き,令状なしには住居への侵入,捜索及び押収ができないとされています(憲法35条)。これを受けて,刑事訴訟法では,捜査において必要な取調べはできるけれども,その取調べが「強制の処分」に該当するようなら,法律に定めがなければできない,と規定されています(刑事訴訟法197条1項)。

 実際の捜査においては,法律に定めがないことも行います。しかし,その捜査が「強制の処分」に該当するならば,法律上の手続きを踏まないと,違法と判断されます。そこで,捜査が「強制の処分」に該当するか否かが,裁判で争いになることがあります。

「強制の処分」は法律上定義されておりませんが,「個人の意思を制圧し,身体,住居,財産等に制約を加えて強制的に捜査目的を実現する行為など,特別の根拠規定がなければ許容することが相当でない手段」だと考えられています(最決昭和51年3月16日 刑集30巻2号187頁参照)。冒頭で掲げた2つの裁判も,きっと上記の枠組みに従って判断し,ただプライバシー侵害の程度をどのくらいと考えたかに差異があるのではないかと,私は推測します。

実際の捜査において力技に出なければならないことがあろうことは,想像に難くありません。しかし,捜査を遂げることばかり重視してしまうと,捜査のためには何をやってもいい,ということになりかねません。捜査という公権力の行使に歯止めをかけるのが,刑事訴訟法などの法律です。そして,どのような歯止めが妥当なのかを理論的な立場から常に考えているのが,刑事訴訟法学者なのです。

最近,一部政治家による,学者軽視の発言が見られます。何かを行っていくうえで,理論より実践が大事だと言いたくなることがあることは,私も否定しません。ただ,だからといって理論を捨ててしまえば,何の歯止めもそこには存在しなくなるのです。理論なき公権力の行使の危険性を,市民一人一人が実感しなければならないのではないかと考える今日この頃です。

(津金貴康)

2015年7月29日 (水)

9月,10月,11月の神山ゼミ

神山ゼミを以下の要領で行います。皆様のご参加をお待ちしています。

日時
9月4日(金)午後6時から午後8時まで
10月23日(金)午後6時から午後8時まで
11月6日(金)午後6時から午後8時まで

※ 8月の神山ゼミはお休みです。

場所
伊藤塾東京校 521B教室
http://www.itojuku.co.jp/keitai/tokyo/access/index.html

備考
法曹、修習生、学生に開かれた刑事弁護実務に関するゼミです。刑事弁護を専門にする神山啓史弁護士を中心に、現在進行形の事件の報告と議論を通して刑事弁護技術やスピリッツを磨いていきます。

特に,実務家の方からの,現在受任している事件の持込相談を歓迎いたします。方針の相談や,冒頭陳述・弁論案の批評等,弁護活動にお役立ていただければと思います。なお,進行予定を立てる都合上,受任事件の持込相談がある場合には,参加連絡の際にその旨伝えていただけると助かります。

参加を希望される方は予めメールにて,下記の事項を金澤万里子までご連絡下さるようお願いします。

[件名] 9月の神山ゼミ(10月の神山ゼミ,11s月の神山ゼミ)
[内容]
・氏名:
・メールアドレス:
・持込相談の事件がある場合にはその旨を。

2015年7月16日 (木)

大田区議会議員いぬぶし秀一氏に対する抗議と議会に対する申入れをしました

今年は中学校の教科書採択がなされる年です。4年前,大田区の教育委員だった私も当然採択に携わりました。その際の採択で,歴史教科書は多数決の結果育鵬社の教科書に決まりました。

私が推した教科書は別の教科書でしたが,採択自体は公正に行われました。ところが今年の第2回定例区議会の一般質問において,いぬぶし秀一議員は,あたかも私が教科書採択が公正でなかったと言いふらしているかのような発言をしました。

https://www.youtube.com/watch?v=Q4MSkSur-gc&feature=youtu.be (12分01秒~20秒)

これではまるで私が自分の意見が通らなかった腹いせに手続に難癖をつけているかのようです。到底看過することができないので,同議員に対して抗議をし,大田区議会議長に対して申入れをしました。
 申入れの内容は以下の通りです。

申 入 書

拝啓 大田区議会並びに議員各位におかれましては日ごろから地方自治の精神にのっとり大田区民のために尽力されていることと存じ,感謝申し上げます。さてこの度は,去る6月22日の定例会における犬伏秀一議員の一般質問の中に事実に反する誤った発言がありましたので,これに対して事実に反する旨の指摘があったことを議会においてご報告されたく本状をもって申し入れます。

 上記一般質問で,犬伏区議は,育鵬社の教科書の評価について質問を行った際に,「『公正な教科書採択を求める大田区民の会』なる名称の団体が,あたかも前回の教科書採択は公正でなかったかのようなチラシや講演会を開催しており,当時採択に携わった教育委員までが公正でなかったというような発言を繰り返しています。」と述べているのを知り,驚きました。ここにいう「当時採択に携わった教育委員」は私を指すと思われるところ,全く事実に反するからです。

前回の中学校教科書採択のとき,私は大田区の教育委員を務めていました。社会科の歴史教科書について,私は帝国書院を推しましたが,他の委員の方々は全員育鵬社を選ばれたため,大田区の歴史教科書は育鵬社に決まりました。その採択は,教育総務部長が明確に回答された通り,公正を疑われるようなものではなく,どの委員に対しても,どこからも,圧力などがかかることはなく,それぞれの委員がそれぞれの考えで意見を述べ,公正に行われたものでした。私は,自分が推した教科書が採択されなかったことは残念に思いますが,だからと言って採択が不公正だなどと思ったことはありませんし,そのような発言をしたこともありません。

私はその年の12月で教育委員の任期を終え,退任しましたが,その翌年の春に,「公正な教科書採択を求める市民の会(以下「市民の会」と略称します。)」の方から講演の依頼を受けました。
私はこの依頼に対して,「育鵬社に反対したという趣旨ではなく,『中学校教科書を選ぶ時に考えたこと』というテーマでならお受けします。」とお断りして依頼を受けました。
聴衆の中には,どこからか不当な圧力がかかったとか,何らかの画策がされたなどという話を期待した人もいたかもしれませんが,そのような誤解は解きたかったので,「どこからか見えやすい圧力がかかったということはありませんし,制約もありませんし,外からいろんなことを言われることもなくて,各自が考えたところを述べていたという感じです。議論をして結果的には決まったということなんです。」と説明しました。そして,「教育委員がフリーに議論して,その結果そういう風になったということは,世の中全体の雰囲気をよく表していることなのかも知れないという風に思っています。」と述べました。
採択の手続きに関して私が述べたのは以上の事実です。その後何度か教科書の内容についての講演を依頼されましたが,採択が公正でなかったなどということは一度も,一言も言っていませんし,もともとそのようには考えていません。

そして講演の内容の本題は,私が推した帝国書院の教科書と育鵬社の教科書とを比較して,私が帝国書院を推した理由について21か所の記述を例にとり,解説したものです。その解説も適切なものだったと思います。現に,帝国書院が優れている例として挙げた,「ルネサンスを説明するための三美神の変遷の図版」は今回そっくりそのまま,今年の育鵬社の教科書に掲載されました。また,同じく帝国書院が優れている例として挙げたアイヌオムシャの錦絵も,今年の育鵬社の教科書に掲載されるようになりました。さらに,前回の育鵬社には「帝国主義」の語が一言も載っていないことも指摘しましたが,これも,今年の教科書には載ることになりました。育鵬社が私の講演録をご覧になったとは思いませんが,私が指摘した21項目のうち3項目も取り入れられ,改善されているわけです。

 以上の次第ですから犬伏議員の「当時採択に携わった教育委員までが公正でなかったというような発言を繰り返しています。」という発言は全く事実に反するものであるに止まらず,元教育委員である私が事実に反する発言をして教育委員会を貶めているかのような印象を議員各位はじめ広く大田区民に与えるもので,誠に遺憾です。
 よって,犬伏議員の発言が根拠のない誤ったものであることを指摘させていただくとともに,この指摘があったことを議会においてご報告いただきたく,本申入れに及ぶ次第です。
 
末筆ながら大田区議会並びに議員各位のますますのご活躍を祈念いたします。
敬具

(櫻井光政)

デモ活動への警察撮影について

昨日(2015年7月15日)、国会議事堂前で行われていた安保関連法案に反対するデモに、見守り弁護士として参加してきました。これぞ表現の自由という、素晴らしい場でした。

そこで散見されたのが、警察官によるデモ活動の撮影です。
弁護士が違法であることを告げてもなかなか辞めませんでしたが、粘り強く繰り返し抗議し、一人ずつ辞めさせました。

このような撮影行為は、憲法13条の趣旨に反し許されません。記録のためとか、今後のデモのためとか、違法行為が行われそうとか、色々言ってきますが全て許されません。
理由は、以下のとおりです。見かけたときは「撮影は辞めて下さい、判例を知らないんですか」と注意して、このブログを警察官に見せてください。

デモ活動を、【警察が撮影】する行為は、原則として憲法13条の趣旨に反し許されません。例外は、次の1~3の要件を全て満たした場合だけです( 最大判昭和44年12月24日)
※公益目的の報道機関による撮影、一般市民による撮影は別です

1 現に犯罪が行なわれもしくは行なわれたのち間がないと認められる場合
2 証拠保全の必要性および緊急性があり
3 その撮影が一般的に許容される限度をこえない相当な方法をもつて行なわれるとき

まず、現に犯罪が行われなければ、1には該当しません。
そして、周りに多数の警察官がいて目撃しているのが通常ですから、証拠保全の必要性もありません。警察官の調書だけで十分です。もちろん、何も犯罪行為が行われていないところを継続的に広く撮影し続ける行為は違法です。

【該当判旨抜粋】
憲法一三条は、「すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。」と規定しているのであつて、これは、国民の私生活上の自由が、警察権等の国家権力の行使に対しても保護されるべきことを規定しているものということができる。そして、個人の私生活上の自由の一つとして、何人も、その承諾なしに、みだりにその容ぼう・姿態(以下「容ぼう等」という。)を撮影されない自由を有するものというべきである。
 これを肖像権と称するかどうかは別として、少なくとも、警察官が、正当な理由もないのに、個人の容ぼう等を撮影することは、憲法一三条の趣旨に反し、許されないものといわなければならない。しかしながら、個人の有する右自由も、国家権力の行使から無制限に保護されるわけでなく、公共の福祉のため必要のある場合には相当の制限を受けることは同条の規定に照らして明らかである。そして、犯罪を捜査することは、公共の福祉のため警察に与えられた国家作用の一つであり、警察にはこれを遂行すべき責務があるのであるから(警察法二条一項参照)、警察官が犯罪捜査の必要上写真を撮影する際、その対象の中に犯人のみならず第三者である個人の容ぼう等が含まれても、これが許容される場合がありうるものといわなければならない。
 そこで、その許容される限度について考察すると、身体の拘束を受けている被疑者の写真撮影を規定した刑訴法二一八条二項のような場合のほか、次のような場合には、撮影される本人の同意がなく、また裁判官の令状がなくても、警察官による個人の容ぼう等の撮影が許容されるものと解すべきである。すなわち、現に犯罪が行なわれもしくは行なわれたのち間がないと認められる場合であつて、しかも証拠保全の必要性および緊急性があり、かつその撮影が一般的に許容される限度をこえない相当な方法をもつて行なわれるときである。このような場合に行なわれる警察官による写真撮影は、その対象の中に、犯人の容ぼう等のほか、犯人の身辺または被写体とされた物件の近くにいたためこれを除外できない状況にある第三者である個人の容ぼう等を含むことになつても、憲法一三条、三五条に違反しないものと解すべきである。

【判例のリンク】
最高裁大法廷判決昭和44年12月24日(刑集23・12・1625)
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/765/051765_hanrei.pdf

(小口幸人)

2015年6月 4日 (木)

不可能を要求する司法~カネミ油症新認定訴訟の顛末

去る6月2日、最高裁は「上告審の受理をしない」決定を出しました。

カネミ油症新認定訴訟裁判のことです。

これまで何度か書いてきましたが、カネミ油症新認定訴訟というのは、昭和43年にカネミ倉庫がダイオキシン類を食用油に混入させるというありうべからざる事故を起こしたことで、九州・西日本で多くのカネミ油症患者が発生しましたが、その被害者が原告となって、加害企業であるカネミ倉庫に対する賠償請求を起こしたものです。本件訴訟の患者たちの多くは、平成14年の認定基準の変更によって認定された「新認定患者」です。カネミ油症患者であることが客観的に明らかになったことで、事故から長い年月が経過した平成20年、ようやく訴訟提起が叶いました。

今回の最高裁の判断は、原審・控訴審の、本件被害は既に除斥期間の経過により請求権を喪失したという判断を維持し、確定させたことになります。

最高裁の判断には、大きな問題点が2つあります。

ひとつには、除斥期間の起算点を昭和44年から動かさなかったことです。

除斥期間というのは、時効に似たものですが、時効と異なり、原則起算点は不法行為時から動きませんし、中断もしません。
しかし、これまでの公害被害、たとえばじん肺訴訟や水俣病、B型肝炎など、裁判所は多くの訴訟で起算点を動かして、被害者を救済して来ました。
じん肺訴訟では、最高裁はその起算点を「最終の行政上の決定を受けた日あるいはじん肺を原因とする死亡の日」としています。つまり、じん肺の被害の発生時自体ははるかに以前のことであっても、行政上の決定を受けた日や死亡時まで起算点をずらして、除斥期間に掛かることを防いできたのです。それは、行政上の決定を受ける前に予め最終被害を申告するということが不可能だからでした。法は不可能を求めないとされてきたのです。

もうひとつは、除斥期間であることに拘泥したことです。

民法724条は、除斥期間を定めたものであるということを前提にこれまで話が進められてきましたが、実は法文上、これが除斥期間を定めたものとはどこにも記載されておらず、また法の起案者は、もともとこの条文を時効のつもりで作成していました。ところが、平成元年の判例以降、解釈としてこれは除斥期間を定めたものであるとされてきたのです。これには強い反対意見が当時からあり、結果、多くの判例で除斥期間であるとすれば悲惨なことになる被害者を救うために、起算点を動かすという技を使わざるを得なくなりました。このような問題を受けて、今年度中に可決される予定の改正民法では、当該条文は時効を定めた条文であると明記される予定だったのです。これが時効であるなら、起算点は動きますし、中断もあります。
しかし、最高裁は、このような流れを一顧だにせず、民法724条は除斥期間を定めた規定であるという判断を維持したわけです。

カネミ油症新認定患者は、油症事件発生以来、多くの病気を次々と発症し、莫大な医療費を支払いながら、お前は油症患者ではない、生まれつきのかたわものであると言われて生きてきました。それは、昔はカネミ油症患者であることを明らかにする、血中のダイオキシン濃度を測る技術が未発達であったことによるものです。水俣病などとも異なり、カネミ油症患者であることの認定は、一般の医師の検査ではできません。年1回の健診を受け、油症研究班の認定を受けることが、唯一絶対の油症患者であることを明らかにする手段でした。

平成に入り、科学技術が追いついてきた結果、平成16年以降、多くの患者がようやくカネミ油症を患っていると認定されました。認定前は、詐病扱いすらされていた患者に、自らが油症被害を受けた者であることの立証は不可能でした。事実、過去には思い余って未認定患者が訴訟を起こしたこともありましたが、患者であることの証明ができないとして、請求は早々に棄却されています。
ところが、今回の裁判所の一連の判断は、結局「認定されていなくても訴訟提起はできたはず」「事実上難しかったというのは理解するけど理論上は可能だったはず」というものでした。司法は、事実上の不可能を要求したのです。

加害企業のカネミ倉庫は、患者への支払が必要だからという理由で、国から保管米を回してもらい、安定収入を得て順調な発展を遂げています(注・カネミ倉庫は認定患者に対しては一部医療費を負担しています)。その一方で、このように多くの患者を闇に葬り、裁判所もこのような不正義を追認したことになります。
司法とは何か、正義とは何か。考えさせられる判決でした。


(石丸文佳)

2015年5月11日 (月)

児童相談所,これではだめだろう

5月4日,相談の電話があった。中学3年の娘が児童相談所に連れて行かれた,娘も帰りたがっているし,私も帰してほしい,という母親からの相談だった。児相に連れて行かれた経緯は,後に知った事実も交えて説明すると以下のようなものだった。

前日夜,酒を飲んで空腹を覚えた父親が料理をしようとした際、サラダ油がないことに腹を立て,物を投げて壊したりして暴れ出した。これに対して娘ははさみを、母親はパン切ナイフを投げて父親と喧嘩になった。ところがこの父親は妻子に対する嫌がらせで110番したから大ごとになった。

このときの父親の対応は最低だが,素の父親は,酒癖は良くないものの,まじめな技術者で,もちろん妻子の身体に暴力を加えたことはなく,娘を大事にしており,親子関係は良好だった。且つ今回の件で反省して直ちに家を出て別居するようになった。

私立の進学校に通っており,成績も非常に良く,皆勤賞を目指している娘はすぐにも家に戻りたかったが,警察官から
「学校なんて行かなくてもいいんだよ」
「勉強なんてしなくていいんだよ」
「君がいるとお母さんの邪魔だから、そばにいることはできません」と言われ、
行きたくないと泣いたのに、無理やり児童相談所に連れて行かれた。

 しかも,警察官は母親に対しては,
「娘さんは、おびえてガタガタ震えて泣いて児童相談所に行きたいと言いました。2か月は出られませんから、その間にアパートを借りて引っ越してください。」と言った。
母親が、「子供を誘導していますね。弁護士を呼んだほうが良い状況ですよね?」
と言うと怒り出し,「このお母さんはダメな人だわ!呼びたきゃ、勝手に呼べ!」
と怒鳴りつけた。それが4日の午前3時から4時にかけてのこと。
勝手に弁護士を呼べと言われた母親が「この時間に弁護士を呼べないですよね?」と尋ねると
「お前の問題だろ!勝手にしろ!」とさらに怒鳴られた。

また娘は学校に行けないと言われたので、「義務教育中です。教育を受ける権利はどうなりますか?」と尋ねると
「学校へは行けません。児相内で勉強させます。学校なんて行かなくても卒業
できる」と言い放たれた。

 警察署で未明まで事情聴取を受けた娘はそのまま児相に身柄を移された。

 児相では、警察の取り調べで一睡もしてない娘にその翌日、マラソン児相敷地内30周、縄跳び500回を命じた。娘は途中で倒れてしまい、30周は走れなかった。足の裏にはマメができ、皮膚がはがれた。
勉強は、中学生ながら既に英検準2級の娘だったが5級以下の内容、数学は小学生がするような100マス計算しかさせてもらえなかった。

児相内の様子はというと、畳敷の部屋がとても汚く,そのためか、廊下で寝ている児童もいる始末。トイレは悪臭がし,その悪臭は浴場でも臭った。トイレは、誰がトイレットペーパーを無駄にしたかわかるようにするため,1人ずつしか行ってはいけないとされた。
トイレットペーパーの使う分量が限られ、トイレ使用時にチェックされるため、娘は便秘になった。

連休明けの5月7日,児相に呼ばれた母親に新人の金澤弁護士が付添った。父親は深く反省し,既に別居が成立している。母子の安全は十分に確保されている。他方娘は帰宅と学校への復帰を希望している。聡明な娘の判断は十分尊重に値する。児童の福祉の観点からも,保護は解除されるべきである旨を訴えた。
その甲斐あってか,娘は翌5月8日に保護を解かれた。早速学校に行くと皆に驚かれた。警察官が学校に,数か月は学校に行けないと連絡を入れていたからだ。

警察の勇み足は,愚かな父親の行動によるところが大きいけれど,それでも母親に対する態度は容認しがたいし,そもそも最も保護されるべき児童の説明をきちんと聞いていないことが問題だ。勉強のできる子どもに,勉強なんか児相でもできると言い放ち,学校にまで,数か月通えない旨の連絡を勝手にしてしまう傲慢さは度し難い。

そして私がもっと腹が立つのが児相の対応だ。一睡もできていない児童に,園庭30週,縄跳び500回を命じるとはどういうことか。体罰ではないのか。また,勉強ができる子どもかどうかは少し話せばわかる。私立中学でもトップクラスの児童に英検5級や100マスはないだろう。このどこが保護といえるのか。
トイレや風呂場がアンモニア臭とは,今時どこの牢獄だ。

児相にはきちんと抗議するつもりだが,物的設備の改善と,優秀な人材の投入が必要だとつくづく感じた次第だ。


(櫻井光政)

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2015年4月20日 (月)

5月,6月,7月の神山ゼミ

神山ゼミを以下の要領で行います。皆様のご参加をお待ちしています。

日時
5月22日(金)午後6時から午後8時頃まで
6月19日(金)午後6時から午後8時頃まで
7月10日(金)午後6時から午後8時頃まで

場所
伊藤塾東京校 521B教室
http://www.itojuku.co.jp/keitai/tokyo/access/index.html

備考
法曹、修習生、学生に開かれた刑事弁護実務に関するゼミです。刑事弁護を専門にする神山啓史弁護士を中心に、現在進行形の事件の報告と議論を通して刑事弁護技術やスピリッツを磨いていきます。

特に,実務家の方からの,現在受任している事件の持込相談を歓迎いたします。方針の相談や,冒頭陳述・弁論案の批評等,弁護活動にお役立ていただければと思います。なお,進行予定を立てる都合上,受任事件の持込相談がある場合には,参加連絡の際にその旨伝えていただけると助かります。

参加を希望される方は予めメールにて,下記の事項を金澤万里子までご連絡下さるようお願いします。

[件名] 5月の神山ゼミ(6月の神山ゼミ,7月の神山ゼミ)
[内容]
・氏名:
・メールアドレス:
・持込相談の事件がある場合にはその旨を。

2015年4月 7日 (火)

Nシステムに関する情報開示の訴訟を提起しました

4月6日,司法・交通ジャーナリストの今井亮一さんの代理人として,東京都に対して情報開示を求める訴訟を提起しました。

警視総監はある企業から年間3045万円の契約でNシステムを賃借しています。今井さんがその契約書の開示を求めたところ,警視総監は賃貸人の企業名や賃貸の目的たる機器の数量や機能などを非開示としました。しかし,誰から,どのような性能の物を,いくつ借りたかというのは,都の支出の適正を判断するために不可欠な情報です。

今井さんは東京都公安委員会に審査請求をしましたが,容れられませんでした。そこでこの度司法の判断を仰ぐべく提訴に至りました。

本件は東京都の問題なので特定秘密保護法と直接の関係はありませんが,同法に言う「秘密」のレベルが警視総監の考える「秘密」のレベルと大きく異なるとは考えられません。とすれば,「秘密」の範囲を恣意的に広げられるような運用をさせてはなりません。私は,Nシステムの供給企業名-それは三菱,松下等限られた数社の中の1社でしょう-程度の情報を秘密として非開示にすることを許してはならないと考えます。

以下,興味のある方のために,訴状の骨子を掲載します。

第1 請求の趣旨

 1 警視総監が平成25年8月7日監.総.文.情第3002号をもってなした一部開示決定のうち,別紙非開示部分目録記載の部分を非開示とした部分を取消す
 2 警視総監は,原告に対し,本件非開示部分の開示決定をせよ
 3 訴訟費用は被告の負担とする
  との判決を求める。

第2 請求の原因
 1 本件訴訟提起に至る経緯
 (1)原告は交通及び司法の問題を専門とするジャーナリストである。
 (2)原告は,東京都情報公開条例に基づき,警視総監に対し,平成25年7月25日,「Nシステム(自動車ナンバー自動読取装置)の契約書及び仕様書。最新のもの。」の開示請求を行った。
 (3)これに対して警視総監は平成25年8月7日一部開示決定(以下「本件処分」という。)を行ったが,これには別紙非開示目録記載の非開示部分があり,その分量,内容は多岐に亘る。
 (4)原告はこれを不服として平成25年10月7日,東京都公安委員会に宛てて審査請求を行ったが,同委員会は平成26年10月3日,審査請求を棄却する旨の裁決をした。
 (5)原告は,同月8日裁決書の謄本が原告代理人事務所に送達されたことにより,同裁決があったことを知った。
 2 本件処分の違法
 (1)非開示部分,非開示の根拠規定及び非開示理由については別紙非開示目録記載の通りである。このうち警察職員の「印影」や法人の「印影」については,個人の特定や印鑑の偽造等がなされる危険等について了解可能なものであるし,契約の当否をチェックするにあたって重要な情報ではないから,開示されないことも理解できないではない。
(2)しかし,賃貸借契約の賃貸人を非開示としたことは違法である。そもそも契約の当事者が誰であるかという事実は,契約の根幹をなす重要事項であり,当該契約が公正になされているか否かをチェックするのに不可欠な事項だからである。
    これに対して警視総監は,非開示の根拠規定として東京都情報公開条例第7条4号を挙げ,賃貸人を公開すると「契約相手等が明らかとなり,犯罪を企図する者等による妨害等の対抗措置を容易にするなど,犯罪の予防及び捜査等に支障を及ぼすおそれがあると認められる」ことを非開示理由とするが,このような理由は非開示の理由とはならないものというべきである。
確かに,契約相手が明らかになると犯罪を企図する者がこれに対して何らかの妨害措置を取る蓋然性はゼロではなかろう。しかし,そのような蓋然性がゼロではないという理由で情報の開示を拒めるならば,およそ全ての契約において,相手方の開示を拒否することが可能になろう。そのような運用が,条例第1条に定める条例の目的,すなわち「日本国憲法の保障する地方自治の本旨に即し・・・東京都が都政に関し都民に説明する責務を全うするようにし,都民の理解と批判の下に公正で透明な行政を推進し,都民による都政への参加を進めるのに資すること」に反するものである。第7条4号が,そのようなおそれがあることに止まらず,そのようなおそれを「実施機関が認めることにつき相当の理由がある情報」としているのもそのためである。警視総監の非開示理由は「相当の理由」を欠くものである。
警視総監はまた,非開示の根拠規定として条例第7条6号を挙げ,賃貸人を公開すると「契約相手等が明らかとなり,犯罪を企図する者等による妨害等の対抗措置を容易にするなど,公共の安全と秩序の維持を確保するという警察業務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがある」ことも非開示の理由に挙げるが,このような理由による非開示も条例第1条の目的に反するものである上,第7条第6号の解釈としても,契約当事者の開示が,例示されている事項やこれに類する事項に当たるとは言えないものである。
 (3)また,車両捜査支援システム設置場所一覧表の一部を非開示としたことも違法である。契約において,目的物の数量は重要な要素であって,それなくして契約の適正は判断できないからである。
    これに対して警視総監は,非開示の根拠規定として条例第7条第4号を挙げ,「公にすることにより,車両捜査支援システムの設置場所及び設置台数が明らかになり,その結果,被疑者等が同署を回避する行動をとるなど,犯罪の捜査に支障を及ぼすおそれがあると認められる」ことを理由とする。
    確かに,設置場所の詳細を明らかにすることが,車両を利用した犯罪を企図する者に,逃走経路の検討を許す余地はあろう。しかしそうであれば,設置場所についての詳細ではなく,例えば特別区までの情報を開示すれば良いのであって,位置に関する情報を全て秘密にする必要はない。また,設置台数自体はそれを知られたからと言って犯罪捜査に支障を及ぼすとは到底考えられない。
 (4)上記以外に非開示とした部分についても,非開示としたことは違法である。この部分は車両捜査支援システムの機能,性能に関わる部分であるが,そもそも高額な対価を支払う賃貸借契約において,目的物がどの程度の機能・性能を有するかは重要な事項である。その機能・性能と設置数量との情報があいまって初めて使用料の適正も判断できるものである。
    これに対して警視総監は,根拠規定として条例第7条第4号を挙げ,「公にすることにより,車両捜査支援システムの機能,性能,使用機器等が明らかとなり,その結果,車両捜査支援システムでの検出,照合を妨げるなどの対抗措置を講じられる恐れがあると認められる」ことを理由とする。
    しかしこれについても契約書に記載されている機能や構造の全てを非開示にすべき理由は到底見当たらない。契約書に記載されているレベルの技術情報であれば,それを知っても妨害策を講ずることがさほど容易になるとは考えられないし,仮にそういう詳細な情報が契約書に記載されているのであれば,その部分を選択して非開示にすれば足りるものだからである。
 3 結論
    以上によれば,警視総監がした本件処分は,本件非開示部分を非開示とした点で違法であるから,その取り消しを求める。

(櫻井光政)

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2015年3月 5日 (木)

3月,4月,5月の神山ゼミ

神山ゼミを以下の要領で行います。皆様のご参加をお待ちしています。

日時
3月18日(水)午後6時から午後8時頃まで
4月20日(月)午後6時から午後8時頃まで
5月22日(金)午後6時から午後8時頃まで

場所
伊藤塾東京校 521B教室
http://www.itojuku.co.jp/keitai/tokyo/access/index.html

備考
法曹、修習生、学生に開かれた刑事弁護実務に関するゼミです。刑事弁護を専門にする神山啓史弁護士を中心に、現在進行形の事件の報告と議論を通して刑事弁護技術やスピリッツを磨いていきます。

特に,実務家の方からの,現在受任している事件の持込相談を歓迎いたします。方針の相談や,冒頭陳述・弁論案の批評等,弁護活動にお役立ていただければと思います。なお,進行予定を立てる都合上,受任事件の持込相談がある場合には,参加連絡の際にその旨伝えていただけると助かります。

参加を希望される方は予めメールにて,下記の事項を金澤万里子までご連絡下さるようお願いします。

[件名] 3月の神山ゼミ(4月の神山ゼミ,5月の神山ゼミ)
[内容]
・氏名:
・メールアドレス:
・持込相談の事件がある場合にはその旨を。

2015年2月12日 (木)

労働者の罹患情報を取り扱うことの適法性-HIV感染症に関する判例を読んで

平成26年8月8日に福岡地裁久留米支部で珍しい判決が言い渡されました。

 HIV感染症に罹患した看護師に対し、本人の同意なく入手した罹患情報に基づいて勤務を休むように指示したことが違法であるとして、病院に対して100万円の慰謝料の支払が命じられました。この金額は訴訟提起後に和解金100万円が支払われていることを考慮したもので、裁判所が相当と認めた慰謝料は200万円にも及びます。

 掲載誌の評釈(判時2239-88)でも指摘されていますが、訴訟提起すると罹患情報が明らかになることが懸念されるため、この種の問題には司法判断を受けにくいという特性があります。そうした観点から、本判決には先例として重要な意味があるように思われます。

 職場におけるHIV問題に関しては厚生労働省からガイドラインが出されていました(基発第75号 平成7年2月20日「職場におけるエイズ問題に関するガイドラインについて」(平成22年4月30日改正))。

 ガイドラインでは、
 

「労働者に対してHIV検査を行わないこと」(2-(3))
 「労働者の採用選考を行うに当たって、HIV検査を行わないこと」(2-(4))
 「HIV感染の有無に関する労働者の健康情報については、その秘密の保持を徹底すること(2-(6))
 「HIVに感染していても健康状態が良好である労働者については、その処遇において他の健康な労働者と同様に扱うこと」(2-(7))
 「HIVに感染していることそれ自体によって、…病者の就業禁止に該当することはないこと」

などが規定されています
http://anzeninfo.mhlw.go.jp/anzen/hor/hombun/hor1-36/hor1-36-1-1-0.htm)。

 医療法人と看護師という関係の特殊性を考えると別異の解釈も有り得たのかも知れませんが、裁判所はガイドラインの趣旨を尊重する姿勢を貫きました。

 今回はHIVが問題になりましたが、職場で取り扱うことが問題になり得る労働者の疾患はHIVに限ったことではないと思われます。

 例えば、最近ではうつ病などの精神疾患を抱えたまま求職・就労活動に従事する方がそれほど珍しくありません。そうした方の疾患に関するプライバシーを職場としてどこまで尊重しなければならないかは困難な問題だと思います。疾患に関する情報を適切に把握しなければ雇用上のきめ細やかな配慮や顧客に対する適切なサービスが提供できない反面、必要以上に私的な領域に踏み込んで欲しくないとする労働者の思いも法律上十分に尊重されなければならないからです。

 この点に関しても厚生労働省は「プライバシーに配慮した障害者の把握・確認ガイドライン」等の文書を作成して一定の調和点を示しています
http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyou/shougaisha02/)。

 ただ、このガイドラインに違反するような措置が行われた場合、裁判所でどのような判断がなされるかについて確立された見解はないように思われます。

 HIVに関しては非常に特殊な例だとは思いますが、職場が労働者の持つ疾患に踏み込んで問題になる紛争は今後増えて行くのではないかと思われます。特に精神疾患に関しては、他者に感染する類の疾病ではないこと・疾患を有していることへの偏見が改善傾向にあることから訴訟提起により事実が明らかになることへの抵抗もHIVに比べれば少ないと考えられ、権利意識の高まりとともに司法判断を受ける事案も多くなることが見込まれます。

 理想を言えば、紛争に至る前に厚生労働省のガイドライン等を参考にしながら使用者・労働者のいずれもが納得できるルールを導入し、深刻な事態は未然に防ぎたいところです。事後的な紛争の解決のみならず、紛争の予防も弁護士の重要な業務の一つです。労働者の健康に関するプライバシーと業務上の必要性との調整にお悩みの企業様には、ぜひ一言お声掛けください。お役に立つことができれば嬉しく思います。

(師子角允彬)

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2015年2月11日 (水)

刑事事件の初回無料接見

桜丘法律事務所では、本年1月中旬から、刑事事件の依頼について、初回の接見を無料で行うサービスを始めています。
http://www.sakuragaoka.gr.jp/first/

当事務所がこのサービスを始めたことを、まだ余り広く認知されてはいないようですが、刑事事件専門の事務所以外で、初回接見無料のサービスを行っている事務所は少ないのです。

 当事務所は、民事事件も多数扱っている事務所ですが、同時に、神山啓史弁護士を中心に刑事事件について情熱と高い能力を有する弁護士たちが活動していることで知られています。

 刑事事件においては、逮捕されたらすぐに弁護士が駆け付けることがどれだけ大切か、数多くの刑事事件を扱った私たちは、身を持って感じています。 誰でも初めて逮捕されたときには、普段はあんなに優しく見えた警察官が、大きな声を出し命令してくることに混乱し、自分の置かれた状況が全く見えないまま、警察官の言うなりに犯行を認める調書を次々に取られてしまいます。

 唯一の味方は弁護士なのに、弁護士が会いに来るまでに時間が掛っては、取り返しがつかなくなる可能性があります。

 一刻も早く身近な人が弁護士に払う費用のことを心配せずに、とにかく一度警察署に会いに行ってくれるよう電話を掛けて来てくれることが出来るように、私どもは、例え既に受けている事件で手一杯であろうと、優先的に時間を作ることを決意して、毎日の当番を決めて対応することにしました。

 これは、刑事事件に対する私どもの情熱の現れであります。

不肖、離婚弁護士を表象する私も、メンバーの一人として、電話が掛ってくることをお待ちしています。

安心して頼っていただくための入り口になることを願っております。

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2015年2月10日 (火)

成年後見と死後事務~ご遺体の引取~

成年後見人として人の死後の事務に関わることがあります。

成年後見は被後見人の死亡によって終了します。それ故、亡くなった瞬間に後見人ではなくなるのでそれまで有していた財産管理権、法定代理権がなくなることになります。

そして、元後見人に明文上残された義務は、管理の計算(民法870条)と相続人への財産引き継ぎ事務という限られたものになります。

しかし、実際には様々な場面で悩ましいことがあります。そのひとつがご遺体の引取ではないでしょうか。

被後見人が亡くなった場合、親族がいれば、死亡診断書の入手から始まり、役場への死亡届、葬儀・荼毘の手続き一切をお任せするのが一般的です。ご遺体の引取や搬送も手続きのひとつとして親族の方が手配等してくれます。元後見人が基本的に一連の手続きに関与する必要はありません(もちろん長くお付き合いした者として手を合わせに行くことはあります)。

 ただし、そのようにすみやかに一連の手続きを行ってくれる方が親族にいない場合は、元後見人が関係者から事実上手続きを求められることがあります。特に至急の対応を求められるのが病院からのご遺体の引取りです。というのは、病院によっては霊安室が必ずしもあるわけではなく、亡くなった方のために病室を確保しておくのは物理的に困難であることが多いからです。病室に余裕があったとしても冬ならばともかく夏は長時間置いておくのは望ましくありません。

 それ故、すぐに親族にすぐ連絡がとれない、対応してくれないなどの時は、昼夜問わず元後見人が病院から対応を迫られます。病院にとってみれば、入院時の契約や様々な支払いの対応をしてくれていた後見人が本人死亡により急に何もやってくれなくなるというのは納得・理解し難いでしょう。無下に対応すれば、今後後見人がついていても身寄りがない患者を引き受けてくれない可能性もあります。それは社会にとっても困ることです。

 また、墓地・埋葬等に関する法律によれば、死体の埋葬又は火葬を行う者がないとき又は判明しないときは、死亡地の市長村長が行わなければならないと定められていますが、現実には自治体がすみやかに遺体の引取をしてくれるとは思えません。そのような交渉をやっている時間もありません。

 では、どうするか。

正解がある話ではありませんが、病院では患者が亡くなった場合に遺体の搬送をよくお願いしている葬儀業者があるはずなので、そういった業者を聞いて、まずはその葬儀業者に搬送を依頼するというのが適当と思われます。搬送先は、元後見人の自宅や事務所というわけにいきませんから、近くの斎場等の安置所になることが多いと思います。業者の方も慣れていて休日や深夜でも対応してくれるのが一般的です。

もちろんその場合費用が発生します。当該費用を亡くなった本人の財産から支出するのか、いったんは元後見人が個人で立て替えるのかという問題が生じますが、民法上の応急処分義務(民法654条)と解する余地があり、そうであれば本人の財産から支出することができるといえます。常識的に考えても必ず発生するものであり、本人にとっても相続人にとっても必要有益な支出です。仮に元後見人が一時的に立替支出したとしても、財産を相続人に引き継ぐ時に精算することもできます。

そして、平行して親族の方に連絡をとり、ご意見を聞きながらその後の手続きを行っていくことになります。本当に身寄りがない方の場合には、やむを得ず元後見人が喪主として最低限の葬儀を行うこともあります。このあたりになるとどこまでやるべきかというのはさらに悩ましく、専門職によっても意見は分かれるかもしれません。結局ケースバイケースの対応をそれぞれの判断で行っているというのが実状です。家庭裁判所も明確なことはなかなか言いませんが、基本的には常識に従った対応であれば許容しているものと理解しています。

いずれにしても、死後事務で大事なのは、「もう権限も義務もない」と言って何もしないことが通用するわけではないということです。

高齢化社会が進むにつれて後見申立も増加し、数年前に比べれば社会での後見制度の認知度は明らかに高くなっています。しかも昨今は親族後見人選任率よりも専門職後見人(弁護士や司法書士など)選任率が上回っています。そうであれば必ず生ずる死後事務については、法律でもう少し明確なルールを定めるべきと思います。それまでは元後見人が悩みながらもひとつひとつ誠実に対処していくほかありません。

(亀井真紀)

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2015年2月 9日 (月)

新着詐欺情報

私の相談者宛てに届いた詐欺メールです。末尾にその全文を掲載します。但しIDについては消しています。

電話番号が記載されていたので電話してみたら,まだ繋がりました。そこで会社の名前を聞いてみると,やっとのことで答えたのが「サポートセンターです。」それが社名かと尋ねるとそうだと言います。そこで住所を尋ねると,新人だから答えられないとのこと。新人だと住所も分からないのかと言ってやると困った風。

上司に代わると言って,替わった上司も住所は言わない。そちらから来たメールに「弁護人に相談しろ」と書いてあるから相談者が相談に来た。覚えがないという内容証明を出したいから住所と社名を教えろと言ってやったがメールで済むでしょうという。

サイトを確認しろと言って教えてきたが,アクセスしても繋がらない。明らかな詐欺です。
電話番号は03-4500-2005です。

(櫻井光政)

お客様により利用規約の同意、さらに最終確認画面を選択され会員登録のお手続きを頂きましたが、ご自身の都合で一方的に踏み倒しをされました。

金額は割引会員価格ではなく、通常料金290,000円の他に法定金利14.6%の遅延損害金を含むデータ管理費等、その他諸経費を加算させて頂きます。

※諸経費に関しましては業務委託をさせて頂いた場合、弁護士により金額が確定された際に、ご郵送にて詳細をお伝えさせて頂きます。

今後の予定と致しましては、端末名義人様に対し各所携帯端末契約地(ご自宅、ご勤務先等)へ在籍確認後、送付となります。

【↓お客様へ大切なお知らせ↓】
お客様の弁護人の方に、当サイト内を必ずご確認して頂いた上でお話下さい。

公安委員会指導下で運営しておりますので、弁護人様へご相談される際にお客様の独断と偏見でサイト概要をお話されますと弁護人の方にも誤解が生じ、後々お客様側でトラブルへ繋がる恐れがございますので、必ず当サイト内を直接確認して頂き、サイト構築及び登録システム等を弁護人の方によくご理解して頂いた上で、ご対応お願い致します。

※お客様による弁護人相談料は一切負いかねます。

※口頭弁論による支払命令が下った際は規約通り、裁判費用等全額お客様のご負担とさせて頂きますので予めご了承下さい。

万が一ご相談等も頂けずこのまま放置された場合、下記内容となる恐れがありますので、予めご理解の方よろしくお願い致します。

◆悪質ユーザーへの対応◆
───────────
①請求書送付  
  (悪質登録後)  
   ≪弁護士≫ 
     ↓     
ご自宅(携帯端末名義人様)  
②債権回収業務委託
  (請求書送付後)  
  ≪債権回収業者≫  
     ↓     
     携帯     
     ↓     
    ご自宅    
     ↓     
   ご勤務先
③少額民事訴訟
(支払拒否に関して) 
 ≪東京簡易裁判所≫ 
     ↓
 ご自宅(出頭届け) 
     ↓     
   裁判所出廷   
     ↓
   ≪口頭弁論≫   
     ↓     
     審理     
     ↓     
    当日判決    
     ↓     
   支払い要請   
───────────
※請求書送付には、お客様がお住いの地域及び請求内容により郵送の関係上、3~数日頂く場合がございます。
※内容証明書及び受任通知書を送付する際に事前通知は一切致しませんので予めご了承下さい。
♪お客様サポートセンター♪
   【受付時間】
平日 09:00~20:00
土日祝10:00~19:00
――――――――――――――
TEL:03-4500-2005
――――――――――――――
発信出来ない場合は、電話番号先頭に186を入力してお掛け下さい。
――――――――――――――
お客様ID:××××
ID番号を控えてお問い合わせ下さい。
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2015年1月27日 (火)

生活保護法第78条に基づく徴収債権の非免責債権化

個人が自己破産手続をとったときに,大半の債権(借金など)は破産の免責手続によって免責され,支払義務を免れます。

しかし,一定の債権については,破産の免責手続によっても免責されず,破産手続後も支払義務が存続することになります。

どのような債権が非免責債権となるかというと,破産法第253条に定めが置かれており,下記の債権が該当します。

一  租税等の請求権(共助対象外国租税の請求権を除く。)
二  破産者が悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権
三  破産者が故意又は重大な過失により加えた人の生命又は身体を害する不法行為に基づく損害賠償請求権(前号に掲げる請求権を除く。)
四  次に掲げる義務に係る請求権
イ 民法第七百五十二条 の規定による夫婦間の協力及び扶助の義務
ロ 民法第七百六十条 の規定による婚姻から生ずる費用の分担の義務
ハ 民法第七百六十六条 (同法第七百四十九条 、第七百七十一条及び第七百八十八条において準用する場合を含む。)の規定による子の監護に関する義務
ニ 民法第八百七十七条 から第八百八十条 までの規定による扶養の義務
ホ イからニまでに掲げる義務に類する義務であって、契約に基づくもの
五  雇用関係に基づいて生じた使用人の請求権及び使用人の預り金の返還請求権
六  破産者が知りながら債権者名簿に記載しなかった請求権(当該破産者について破産手続開始の決定があったことを知っていた者の有する請求権を除く。)
七  罰金等の請求権

ところで,生活保護の不正受給をした場合などには,生活保護法第78条に基づき,不正受給した保護費の返還を求められ,徴収されることになりますが,この徴収債権が,平成26年7月1日から施行されている生活保護法改正によって,非免責債権化されているので,注意が必要です。

改正された生活保護法第78条第4項において,

「前三項の規定による徴収金は、この法律に別段の定めがある場合を除き、国税徴収の例により徴収することができる。」

との定めが新設されました。

破産法第97条第4号では,

「国税徴収法 (昭和三十四年法律第百四十七号)又は国税徴収の例によって徴収することのできる請求権(以下「租税等の請求権」という。)(後略)」

として「租税等の請求権」の定義をおいています。上記の生活保護法改正による新設規定により,生活保護法第78条に基づく徴収債権が,「租税等の請求権」に該当することとなり,非免責債権となりました。

この点,破産法だけ見ていても気がつきにくいところですので,注意が必要です。

これまでは,破産手続が視野に入っているのであれば,生活保護費の返還を命じられる根拠が,生活保護法第63条に基づくものであっても,第78条に基づくものであっても,いずれにしても原則として免責債権であったため,それほど気に掛ける必要はなかったかもしれません。

しかし,今後は,生活保護法63条に基づく返還債権は破産手続において免責対象となる一方,同78条に基づく徴収債権は非免責債権となりますので,大きな違いが生じます。

本来生活保護法第63条に基づいて返還が命じられるべきケースで,同78条に基づく徴収の決定を受けたような場合は,積極的に審査請求を行って是正する必要があるといえます。

なお,生活保護に関する審査請求などについては,日弁連の委託援助事業を利用して,弁護士費用をまかなうことができます。

http://www.nichibenren.or.jp/activity/justice/houterasu/hourituenjyojigyou.html

(弁護士新谷泰真)


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2015年1月25日 (日)

帰還困難区域を走るバス

先頃、南相馬市の原ノ町駅から楢葉町の竜田駅までの常磐線不通区間で、今後は代行バスを1日2往復走らせることを決定したというニュースがありました。

この区間が不通になっていたのは、まさに福島第一原子力発電所のすぐ側を走っていたからですが、電車の代わりにバスをほぼ同じ経路で走らせるというわけです。当然、帰還困難区域とされている高線量地域を長時間(片道約1時間だそうです)通ることになります。

電車と違ってノンストップであり、途中でドアを開閉することはないですが、閉めきった車内にいても当然乗客は被曝することになります。計測に拠れば、1回当たり1.2μsvだそうです。

もともと、この区間が通れないことで、南相馬市側からいわき方面に通勤等していた人々は大幅な迂回を余儀なくされており、結果としていわき方面への通勤は不可能でした。ゆえに、これまでは南相馬市等既に帰還が認められている地域の住民であっても、いわき市近辺に避難を継続しなければならない理由があると認められ、賠償が行われてきたのです。

言い換えれば、それだけ南相馬方面からいわき方面に通勤している人が多いわけで、このバスは、このような朝夕の通勤で利用する人たちを見込んで走らせるわけです。

以上のことから、懸念が2つあります。

ひとつは、低線量被ばくの問題です。一説には、生涯被ばく量が100msv以下であれば問題ないと言っているようですが、そうではなく、いわゆる~以下なら安全と言われる「閾値」は存在しないという説も有力に唱えられています。

つまり、危険度は被曝の量に比例して増えるというものであり、チェルノブイリでも低線量被ばく地域の住民のがんの発生率が自然発生する率よりも有意に上昇したというデータもあります。

もうひとつは、これにより避難継続の必要性なしとして賠償が打ち切られるおそれがあることです。低線量被ばくの危険を冒すも冒さないも自由ですが、この危険を冒すことを強制するような賠償の実務が定着することがあってはなりません。

(石丸文佳)


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2015年1月22日 (木)

弁護士費用自由化の限界

弁護士費用について皆さんはどのようなイメージをお持ちでしょうか?

相場がわからず、時価の鮨屋に入るようなものという例えもよく聞きます。

以前は、日本弁護士連合会で報酬基準を決めて、極端に高額の費用を請求したりすることを防止していたのですが、その後規制緩和の波に乗ってか、平成16年4月から弁護士費用の価格設定も自由化されました。

しかし先日、同期の友人弁護士から、自由化も善し悪しだと思わされる話を聞きました。

私の友人はとある初犯の窃盗事件の当番弁護士として某警察署に出向いたところ、その被疑者の家族が手配した刑事弁護専門と称する法律事務所の弁護士(仮に「A弁護士」とします)が私の友人の後に接見をしました。

その後、A弁護士を手配した被疑者の家族から私の友人弁護士に電話がありました。家族はA弁護士から以下のようなことを言われたそうです。

① 被疑者はA弁護士に依頼したいと言っている
② 委任契約には200万円必要(注:当番弁護士の着手金は20万円程度。初犯の窃盗であれば報酬まで入れても、せいぜい合計40万から60万円程度。)
③ 委任契約をするまで、被疑者に会うな
④ 初回接見の費用は10万円(注:当番弁護士なら初回接見は無料)

これに対して私の友人弁護士は、接見禁止はついていないので、そんなのは無視して面会に行ってよい旨を伝えました。

すると、その日のうちに被疑者の家族から再度電話があり、結局被疑者は私の友人弁護士に依頼したいと言っているとのことだったので、受任することになったようです。

早速、私の友人弁護士が被疑者に接見に行くと、被疑者は最初からA弁護士に依頼するつもりはなく、そのことはA弁護士にもはっきり言っていたとのことでした。

接見禁止もついていないのに、委任契約をするまで被疑者に会うなと言うことは、被疑者を人質に取って身代金を要求するようなものですから、それは論外としても、弁護士費用が自由化されたからと言って、この金額はいかがなものかと思います。

 この点については弁護士の中でも、それは依頼者の自己責任であり、依頼者がその条件で納得して契約した以上仕方がないという意見もあります。

しかし、家族が突然逮捕されたとき、その家族はパニック状態になっていて、判断力が鈍りがちだと思われます。

それに加えて、普通の人は刑事弁護の費用の相場など知らないので、提示された弁護士費用が適正なのかどうかを判断することなど到底できないでしょう。更に、被疑者が逮捕されて身体を拘束されている状態の場合は時間との勝負ですから、ゆっくりと相場を調べて相見積もりを取ったり、報酬基準の比較検討などをする余裕はありません。被疑者の家族が高齢者であったりすれば、インターネットで検索することもできないでしょう。

そうだとすれば、知識豊富な専門業者と消費者の契約の際には、情報の格差があり、対等の関係で契約をすることができないので、契約の自由を一部制限して消費者を保護しようとした消費者契約法の趣旨が正に妥当する場面と言えるでしょう。

弁護士と素人である依頼者との間には圧倒的な情報格差がありますから、そのような場合にまで、依頼者の自己責任として切り捨ててしまうことは、ひいては弁護士全体に対する市民の信頼を失うことにもなりかねないと考えます。

そのように考えると、本件のA弁護士のように法外な弁護士費用を請求することは、例え弁護士費用が自由化されているとしても許されないと、私は思います。

勿論、何か正解があるわけではないのですが、暴利行為は弁護士の品位を失わせる非行であり、懲戒事由にも当たると考えます。

(高木良平)

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