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2015年1月

2015年1月27日 (火)

生活保護法第78条に基づく徴収債権の非免責債権化

個人が自己破産手続をとったときに,大半の債権(借金など)は破産の免責手続によって免責され,支払義務を免れます。

しかし,一定の債権については,破産の免責手続によっても免責されず,破産手続後も支払義務が存続することになります。

どのような債権が非免責債権となるかというと,破産法第253条に定めが置かれており,下記の債権が該当します。

一  租税等の請求権(共助対象外国租税の請求権を除く。)
二  破産者が悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権
三  破産者が故意又は重大な過失により加えた人の生命又は身体を害する不法行為に基づく損害賠償請求権(前号に掲げる請求権を除く。)
四  次に掲げる義務に係る請求権
イ 民法第七百五十二条 の規定による夫婦間の協力及び扶助の義務
ロ 民法第七百六十条 の規定による婚姻から生ずる費用の分担の義務
ハ 民法第七百六十六条 (同法第七百四十九条 、第七百七十一条及び第七百八十八条において準用する場合を含む。)の規定による子の監護に関する義務
ニ 民法第八百七十七条 から第八百八十条 までの規定による扶養の義務
ホ イからニまでに掲げる義務に類する義務であって、契約に基づくもの
五  雇用関係に基づいて生じた使用人の請求権及び使用人の預り金の返還請求権
六  破産者が知りながら債権者名簿に記載しなかった請求権(当該破産者について破産手続開始の決定があったことを知っていた者の有する請求権を除く。)
七  罰金等の請求権

ところで,生活保護の不正受給をした場合などには,生活保護法第78条に基づき,不正受給した保護費の返還を求められ,徴収されることになりますが,この徴収債権が,平成26年7月1日から施行されている生活保護法改正によって,非免責債権化されているので,注意が必要です。

改正された生活保護法第78条第4項において,

「前三項の規定による徴収金は、この法律に別段の定めがある場合を除き、国税徴収の例により徴収することができる。」

との定めが新設されました。

破産法第97条第4号では,

「国税徴収法 (昭和三十四年法律第百四十七号)又は国税徴収の例によって徴収することのできる請求権(以下「租税等の請求権」という。)(後略)」

として「租税等の請求権」の定義をおいています。上記の生活保護法改正による新設規定により,生活保護法第78条に基づく徴収債権が,「租税等の請求権」に該当することとなり,非免責債権となりました。

この点,破産法だけ見ていても気がつきにくいところですので,注意が必要です。

これまでは,破産手続が視野に入っているのであれば,生活保護費の返還を命じられる根拠が,生活保護法第63条に基づくものであっても,第78条に基づくものであっても,いずれにしても原則として免責債権であったため,それほど気に掛ける必要はなかったかもしれません。

しかし,今後は,生活保護法63条に基づく返還債権は破産手続において免責対象となる一方,同78条に基づく徴収債権は非免責債権となりますので,大きな違いが生じます。

本来生活保護法第63条に基づいて返還が命じられるべきケースで,同78条に基づく徴収の決定を受けたような場合は,積極的に審査請求を行って是正する必要があるといえます。

なお,生活保護に関する審査請求などについては,日弁連の委託援助事業を利用して,弁護士費用をまかなうことができます。

http://www.nichibenren.or.jp/activity/justice/houterasu/hourituenjyojigyou.html

(弁護士新谷泰真)


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2015年1月25日 (日)

帰還困難区域を走るバス

先頃、南相馬市の原ノ町駅から楢葉町の竜田駅までの常磐線不通区間で、今後は代行バスを1日2往復走らせることを決定したというニュースがありました。

この区間が不通になっていたのは、まさに福島第一原子力発電所のすぐ側を走っていたからですが、電車の代わりにバスをほぼ同じ経路で走らせるというわけです。当然、帰還困難区域とされている高線量地域を長時間(片道約1時間だそうです)通ることになります。

電車と違ってノンストップであり、途中でドアを開閉することはないですが、閉めきった車内にいても当然乗客は被曝することになります。計測に拠れば、1回当たり1.2μsvだそうです。

もともと、この区間が通れないことで、南相馬市側からいわき方面に通勤等していた人々は大幅な迂回を余儀なくされており、結果としていわき方面への通勤は不可能でした。ゆえに、これまでは南相馬市等既に帰還が認められている地域の住民であっても、いわき市近辺に避難を継続しなければならない理由があると認められ、賠償が行われてきたのです。

言い換えれば、それだけ南相馬方面からいわき方面に通勤している人が多いわけで、このバスは、このような朝夕の通勤で利用する人たちを見込んで走らせるわけです。

以上のことから、懸念が2つあります。

ひとつは、低線量被ばくの問題です。一説には、生涯被ばく量が100msv以下であれば問題ないと言っているようですが、そうではなく、いわゆる~以下なら安全と言われる「閾値」は存在しないという説も有力に唱えられています。

つまり、危険度は被曝の量に比例して増えるというものであり、チェルノブイリでも低線量被ばく地域の住民のがんの発生率が自然発生する率よりも有意に上昇したというデータもあります。

もうひとつは、これにより避難継続の必要性なしとして賠償が打ち切られるおそれがあることです。低線量被ばくの危険を冒すも冒さないも自由ですが、この危険を冒すことを強制するような賠償の実務が定着することがあってはなりません。

(石丸文佳)


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2015年1月22日 (木)

弁護士費用自由化の限界

弁護士費用について皆さんはどのようなイメージをお持ちでしょうか?

相場がわからず、時価の鮨屋に入るようなものという例えもよく聞きます。

以前は、日本弁護士連合会で報酬基準を決めて、極端に高額の費用を請求したりすることを防止していたのですが、その後規制緩和の波に乗ってか、平成16年4月から弁護士費用の価格設定も自由化されました。

しかし先日、同期の友人弁護士から、自由化も善し悪しだと思わされる話を聞きました。

私の友人はとある初犯の窃盗事件の当番弁護士として某警察署に出向いたところ、その被疑者の家族が手配した刑事弁護専門と称する法律事務所の弁護士(仮に「A弁護士」とします)が私の友人の後に接見をしました。

その後、A弁護士を手配した被疑者の家族から私の友人弁護士に電話がありました。家族はA弁護士から以下のようなことを言われたそうです。

① 被疑者はA弁護士に依頼したいと言っている
② 委任契約には200万円必要(注:当番弁護士の着手金は20万円程度。初犯の窃盗であれば報酬まで入れても、せいぜい合計40万から60万円程度。)
③ 委任契約をするまで、被疑者に会うな
④ 初回接見の費用は10万円(注:当番弁護士なら初回接見は無料)

これに対して私の友人弁護士は、接見禁止はついていないので、そんなのは無視して面会に行ってよい旨を伝えました。

すると、その日のうちに被疑者の家族から再度電話があり、結局被疑者は私の友人弁護士に依頼したいと言っているとのことだったので、受任することになったようです。

早速、私の友人弁護士が被疑者に接見に行くと、被疑者は最初からA弁護士に依頼するつもりはなく、そのことはA弁護士にもはっきり言っていたとのことでした。

接見禁止もついていないのに、委任契約をするまで被疑者に会うなと言うことは、被疑者を人質に取って身代金を要求するようなものですから、それは論外としても、弁護士費用が自由化されたからと言って、この金額はいかがなものかと思います。

 この点については弁護士の中でも、それは依頼者の自己責任であり、依頼者がその条件で納得して契約した以上仕方がないという意見もあります。

しかし、家族が突然逮捕されたとき、その家族はパニック状態になっていて、判断力が鈍りがちだと思われます。

それに加えて、普通の人は刑事弁護の費用の相場など知らないので、提示された弁護士費用が適正なのかどうかを判断することなど到底できないでしょう。更に、被疑者が逮捕されて身体を拘束されている状態の場合は時間との勝負ですから、ゆっくりと相場を調べて相見積もりを取ったり、報酬基準の比較検討などをする余裕はありません。被疑者の家族が高齢者であったりすれば、インターネットで検索することもできないでしょう。

そうだとすれば、知識豊富な専門業者と消費者の契約の際には、情報の格差があり、対等の関係で契約をすることができないので、契約の自由を一部制限して消費者を保護しようとした消費者契約法の趣旨が正に妥当する場面と言えるでしょう。

弁護士と素人である依頼者との間には圧倒的な情報格差がありますから、そのような場合にまで、依頼者の自己責任として切り捨ててしまうことは、ひいては弁護士全体に対する市民の信頼を失うことにもなりかねないと考えます。

そのように考えると、本件のA弁護士のように法外な弁護士費用を請求することは、例え弁護士費用が自由化されているとしても許されないと、私は思います。

勿論、何か正解があるわけではないのですが、暴利行為は弁護士の品位を失わせる非行であり、懲戒事由にも当たると考えます。

(高木良平)

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2015年1月 5日 (月)

1月,2月,3月の神山ゼミ

神山ゼミを以下の要領で行います。皆様のご参加をお待ちしています。

日時
1月16日(金)午後6時から午後8時頃まで
2月25日(水)午後6時30分から午後8時30分頃まで
3月18日(水)午後6時から午後8時頃まで


場所
伊藤塾東京校 521B教室
http://www.itojuku.co.jp/keitai/tokyo/access/index.html

備考
法曹、修習生、学生に開かれた刑事弁護実務に関するゼミです。刑事弁護を専門にする神山啓史弁護士を中心に、現在進行形の事件の報告と議論を通して刑事弁護技術やスピリッツを磨いていきます。

特に,実務家の方からの,現在受任している事件の持込相談を歓迎いたします。方針の相談や,冒頭陳述・弁論案の批評等,弁護活動にお役立ていただければと思います。なお,進行予定を立てる都合上,受任事件の持込相談がある場合には,参加連絡の際にその旨伝えていただけると助かります。

参加を希望される方は予めメールにて,下記の事項を金澤万里子までご連絡下さるようお願いします。

[件名] 1月の神山ゼミ(2月の神山ゼミ,3月の神山ゼミ)
[内容]
・氏名:
・メールアドレス:
・持込相談の事件がある場合にはその旨を。

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