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2015年1月22日 (木)

弁護士費用自由化の限界

弁護士費用について皆さんはどのようなイメージをお持ちでしょうか?

相場がわからず、時価の鮨屋に入るようなものという例えもよく聞きます。

以前は、日本弁護士連合会で報酬基準を決めて、極端に高額の費用を請求したりすることを防止していたのですが、その後規制緩和の波に乗ってか、平成16年4月から弁護士費用の価格設定も自由化されました。

しかし先日、同期の友人弁護士から、自由化も善し悪しだと思わされる話を聞きました。

私の友人はとある初犯の窃盗事件の当番弁護士として某警察署に出向いたところ、その被疑者の家族が手配した刑事弁護専門と称する法律事務所の弁護士(仮に「A弁護士」とします)が私の友人の後に接見をしました。

その後、A弁護士を手配した被疑者の家族から私の友人弁護士に電話がありました。家族はA弁護士から以下のようなことを言われたそうです。

① 被疑者はA弁護士に依頼したいと言っている
② 委任契約には200万円必要(注:当番弁護士の着手金は20万円程度。初犯の窃盗であれば報酬まで入れても、せいぜい合計40万から60万円程度。)
③ 委任契約をするまで、被疑者に会うな
④ 初回接見の費用は10万円(注:当番弁護士なら初回接見は無料)

これに対して私の友人弁護士は、接見禁止はついていないので、そんなのは無視して面会に行ってよい旨を伝えました。

すると、その日のうちに被疑者の家族から再度電話があり、結局被疑者は私の友人弁護士に依頼したいと言っているとのことだったので、受任することになったようです。

早速、私の友人弁護士が被疑者に接見に行くと、被疑者は最初からA弁護士に依頼するつもりはなく、そのことはA弁護士にもはっきり言っていたとのことでした。

接見禁止もついていないのに、委任契約をするまで被疑者に会うなと言うことは、被疑者を人質に取って身代金を要求するようなものですから、それは論外としても、弁護士費用が自由化されたからと言って、この金額はいかがなものかと思います。

 この点については弁護士の中でも、それは依頼者の自己責任であり、依頼者がその条件で納得して契約した以上仕方がないという意見もあります。

しかし、家族が突然逮捕されたとき、その家族はパニック状態になっていて、判断力が鈍りがちだと思われます。

それに加えて、普通の人は刑事弁護の費用の相場など知らないので、提示された弁護士費用が適正なのかどうかを判断することなど到底できないでしょう。更に、被疑者が逮捕されて身体を拘束されている状態の場合は時間との勝負ですから、ゆっくりと相場を調べて相見積もりを取ったり、報酬基準の比較検討などをする余裕はありません。被疑者の家族が高齢者であったりすれば、インターネットで検索することもできないでしょう。

そうだとすれば、知識豊富な専門業者と消費者の契約の際には、情報の格差があり、対等の関係で契約をすることができないので、契約の自由を一部制限して消費者を保護しようとした消費者契約法の趣旨が正に妥当する場面と言えるでしょう。

弁護士と素人である依頼者との間には圧倒的な情報格差がありますから、そのような場合にまで、依頼者の自己責任として切り捨ててしまうことは、ひいては弁護士全体に対する市民の信頼を失うことにもなりかねないと考えます。

そのように考えると、本件のA弁護士のように法外な弁護士費用を請求することは、例え弁護士費用が自由化されているとしても許されないと、私は思います。

勿論、何か正解があるわけではないのですが、暴利行為は弁護士の品位を失わせる非行であり、懲戒事由にも当たると考えます。

(高木良平)

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コメント

コタドン(kotadon)さんのツイッターから神山弁護士の記事を知り、[弁護士費用自由化の限界]を拝読しました。
結びの「品位を失わせる」「懲戒事由にも当たる」の表記に強い驚きを感じました。弁護士の方は、業界を形成していて身内の不正や非行に対しては強い発言は控え、一方ではその被害者には関わろうとはしないものとの認識があるからです。

その様に思っているのは、同記事とは直接関係のない別分野での私の経験からです。依頼者の立場の擁護や保護をせずに裏切り、無断で秘密裡に相手側とやり取りし、依頼者の了解のない取決めやその通知を行うといった酷い代理人弁護士の被害に遭ったからです。
解約しましたが、後任の弁護士の先生も残念ながら表見代理の壁に阻まれ、敗訴的な和解を余儀なくされました。
控訴審移行の最中に前任者に説明を求めるべく接触(メール)を試みましたが、遮断(音沙汰なし)手法を使われ、仕舞には「代理人を立てる」「受任通知を送る」との強硬姿勢・態度に出てきました。
私は、残念至極なことに体制(代理人が付かない状況)が整わずに現在に及んでいます。

この様な事態や事件でも、過去のこととして完了しているのであれば、強烈至極の憤怒や超絶な不快もまだ風化や減衰の仕様もあるかもしれませんが、現状はまるでそうではありません。何故ならば、その不良な行為を働いた弁護士が、信じられないことにテレビ・コメンテーターとしてレギュラー出演をし続けているからです。
このテレビ出演は、1審で窮地に立たされている最中に生じました。悪夢を観ているような信じがたい現象・事象でした。そして今尚続いています。

何度か、後任の弁護士の方以外にも相談しましたが、上記の業界配慮から誰も味方してくれません。
紛議調停を薦められるものの、得られる結果や成果はに対する見解はそれぞれ異なり、これでは持ち込み様がありません。

人(依頼者)を裏切り、そのうえさらに嘲り踏みにじるが如くの配慮なく臆面なきテレビ露出に辟易至極の苦痛を強いられております。
代理人弁護士が起こした犯罪(的)不祥事の不可解で不可思議な迷宮に人(依頼者)を閉じ込めておくだけでも許されない非道です。
その上さらに、踏みにじりに踏みにじりを架し、累を及ぼし続ける悪態・悪行の電波露出が今日も延々と続いております。

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